完全和平手册

在岡山県岡山市，養護学校を定年退職した柏木寿夫さんが、障害者や高齢者を乗せる福祉車両を運転し、自宅の庭で地域の野良猫たちにエサをやっています。しかし最近、外部の「泥棒猫」がエサを目当てに侵入してきて、猫社会の緊張が高まり、寿夫さんは頭を悩ませています。彼の妻・柏木廣子さんは、高齢者や障害者の自宅にヘルパーを派遣するNPOを運営しており、国の福祉予算の削減に苦しんでいます。家では、猫の餌付けのことで夫に不満を抱えています。広子さんは週に一度、91歳の橋本至郎さんの生活支援に出掛けます。橋本さんはネズミとダニだらけのアパートに一人暮らし、自分の死を見つめる日々を過ごしています。戦争中に兵隊として徴集された過去があり、その記憶が今も響いています。この作品は、岡山県岡山市の人々や猫たちの淡々とした日常を通じて、平和とは何か、共存とは何かを哲学的に問いかけます。